GRⅢ GRⅢx 比較レビュー / どっちを買う?あなたの一台を決める!

カメラとレンズ
カメラとレンズreview/レヴュー
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この記事をご覧になっているということは、リコーのコンパクトデジタルカメラ「GR」購入の検討中かと思います。

私は現在「GRⅢ」・「GRⅢx」両方とも所有しており、それぞれの良さを実感しているところです。

この記事では「GRⅢ」と「GRⅢx」どちらを買うべきか、という点について考えていきます。

人それぞれと言ってしまえばそれまでなので、この記事では「あなたにとって」どちらが適しているか?という観点で、作例を見ながら進めていきます。

※作例は基本撮って出し(イメージコントロール:スタンダード)ですが、一部露光量のみ調整しています。

それでは一緒に考えてみましょう。


▼GRⅢ:28mm



▼GRⅢx:40mm





▼YouTubeにも比較動画を載せました。
よろしければ、ご覧ください。




スペック比較

▼詳細なスペック比較はメーカーHPをご覧ください。

仕様 / RICOH GR III / GR IIIx / デジタルカメラ / 製品 | RICOH IMAGING



▼主な仕様を抜粋しました。

GRⅢGRⅢx
レンズ4群6枚(非球面レンズ2枚)5群7枚(非球面レンズ2枚)
焦点距離28mm(35mm換算)40mm(35mm換算)
最短撮影距離標準:約0.1m~∞、マクロモード:約0.06m~0.12m標準:約0.2m~∞
マクロモード:約0.12m~0.24m
最大撮影倍率0.35倍0.25倍
F値F2.8~F16F2.8~F16
有効画素数2424万画素2424万画素
シャッタースピード1/4000~30秒s1/4000~30秒
クロップ35mm(1,500万画素)
50mm(700万画素)
50mm(1,500万画素)
71mm(700万画素)
サイズ約109.4(幅) × 61.9(高) × 33.2mm(厚)約109.4(幅) × 61.9(高) × 35.2mm(厚)
質量約257g(SDカード、バッテリー含む)約262g(SDカード、バッテリー含む)
諸元抜粋


結局のところ「レンズ」以外、ほとんど違いがありません。

「焦点距離」、「クロップの画角」、「重さ」などもレンズの違いに起因するものです。



GRⅢ:28mm


GRⅢx:40mm


▲この2つの写真は同じ場所で28mmと40mmを撮り比べたものです。

取り込める情報量に大きな差があるとともに、被写体との距離感も結構違いますね。

では、次の項では場面ごとに違いを確認しながら、どういう場面にどちらが適しているか考えていきましょう。



GRⅢ(28mm)が適している場面

自然風景

自然風景写真は広がりや奥行きを表現したいことが多く、広角寄りの画角が好まれるので、GRⅢの方が適していると思われます。

GRⅢ
中央の塔と広がる空
空の広さを表現するには28mmが良い


GRⅢ
川に反射する光と広い空
手前の前景を入れて撮影
28mmなら近景から遠景への奥行きを表現しやすい



都市景観

都会をスナップしていると構造物の背の高さに目を奪われます。

高いビルや構造物をダイナミックに取り入れて撮りたいと思うことも多いでしょう。

そんな時も28mmの画角の広さが欲しくなります。

GRⅢ
印象的なオブジェと自動車・人・横断歩道、すべてを画角に取り込みたかった


GRⅢ
整然とそびえるビルと、遠くを眺める人、28mmだから表現できた世界だと思う


奥行き感を出したい場面

いずれも左手前から右奥へと、視線の流れを意識した写真です。

画角の広いレンズで寄って撮ると、近くにあるものはダイナミックに、遠くにあるものはよりミニマルに写し出され、奥行き感が強調された仕上がりになります。

そのような意図を持って撮る場合、28mmのGRⅢの方が伝わりやすいと思われます。

GRⅢ
左手前フェンスから右奥カーブへの流れを意識した一枚


GRⅢ
手前道路の「ひし形」の鋭さが強調されるように撮影


マクロ撮影

GRⅢはマクロモードを使用すると最大撮影倍率0.35倍の撮影が可能です。

一方、GRⅢxは0.25倍

クローズアップできる倍率はGRⅢ(28mm)の方が優れています。

そして当然ですが、被写体との距離もGRⅢの方が近くまで寄れます。

GRⅢ 0.35倍
かなり大きく写せる印象。
クロップを使用すれば、さらに迫力のあるマクロ写真が残せる。


GRⅢx 0.25倍
こちらも非常に優秀だが、28mmと比べると少し物足りないかも。





GRⅢx(40mm)が適している場面

被写体が明確なスナップ撮影

スナップにも色々ありますが、明確にこの被写体を撮りたい、ある事象にクローズアップしたい、そんな時はより焦点距離の長いレンズを備える「GRⅢx」が適していると思われます。

GRⅢx
カラフルな洋服の二人。
偶然にも黄色の手提げとバッグを持っていた。
伝えたい対象が明確なので40mmで画角を狭くして撮影。
被写体から離れて撮影できるメリットも。


GRⅢx
印象的な壁の色とそれに合わせたかのように佇む赤い自転車。
配置とカラーが素敵な場面の一部分を切り取った。
40mmだからあまり歪みを感じないで撮影できるのもありがたい。


ポートレート撮影

GRⅢxはGRⅢよりも焦点距離が長いので、少し離れても被写体を大きく写すことができ、背景をぼかして撮影することにも長けています。

また、28mmよりも40mmの方がレンズの歪みが少ないということもポートレート撮影に向いている要因の一つですね。


GRⅢx
被写体と少し距離をおいて、自然な感じで撮れます。


GRⅢx
歪みが少ないので、水平を意識したシーンでも違和感がありません。



物撮り

歪みが少ないという意味では、GRⅢxの方が物撮りに適していると言えます。

※マクロ撮影は前述のとおり、GRⅢの方が大きく写せますのでご注意を。

GRⅢx
俯瞰撮影時も自然な仕上がり。


GRⅢx
F2.8で撮ればしっかりとしたボケが得られる。



構図を整理したい場面

写真において、情報は多ければいいというものではありません。

自分が見せたい範囲を明確にすることも大切なことです。

28mmでは余計なものが写りすぎるような時でも、40mmだとスッキリ収まることは良くあります。

GRⅢx
赤の画面占有率を狙って上下左右の余分なものを排除。
40mmはこういう意図に適している。


GRⅢx
交差点の見下ろしスナップだが、画面の外側には人や構造物など写したくないものが多々。
「写真は引き算」という言葉が頭をよぎる一コマ。




クロップ撮影の画角を比較してみる

同じ場所からGRⅢ、GRⅢxでクロップを使って2シーンそれぞれ3枚ずつ撮影。

直感的にどちらのバリエーションが必要か判断してみてください。

距離感・画角の好みは、意外と無意識的に持っているものなので、結構判断材料になるかもしれません。


被写体からの距離3m

ストリートでの距離感に近い、近距離撮影から試してみましょう。


GRⅢ : 28mm / 35mm / 50mm

28mmクロップ無し


35mmクロップ一段階


50mmクロップ二段階



GRⅢx : 40mm / 50mm / 71mm

40mmクロップ無し


50mmクロップ一段階


71mmクロップ二段階



被写体からの距離10m

次は風景撮影を想定し、少し離れた距離からの検証。


GRⅢ : 28mm / 35mm / 50mm

28mmクロップ無し


35mmクロップ一段階


50mmクロップ二段階



GRⅢx : 40mm / 50mm / 71mm

40mmクロップ無し


50mmクロップ一段階


71mmクロップ2段階




実用的にはGRⅢは28mmと35mm、GRⅢxは40mmと50mmか?

前述しましたが、

クロップ一段階(35mm、50mm)では1,400万画素

クロップ二段階(50mm、71mm)では700万画素

になります。



下の表をご覧ください。

写真をプリントする際の必要画素数の目安です。

当然大きくプリントするにはより沢山の画素数を必要とします。


カメラのキタムラより引用



A4の印刷には約900万画素A3の印刷には約1,400万画素必要となっています。

クロップ二段階(GRⅢ 50mm、GRⅢx 71mm)の700万画素では少し心もとない。

一方、クロップ一段階(GRⅢ 40mm、GRⅢx 50mm)の画素数は1,400万画素なのでA3であれば安心してプリントすることができそうです。


スナップシューターのGRで撮った写真をどのくらいの大きさでプリントするか、これはもちろん人それぞれです。

しかし、スナップではいつ何時「傑作」が撮れるか誰にもわかりません。



最高の一枚が撮れた!(偶然だとしても)

写真の展示をしたい・コンテストに応募したい

本当に良い写真は大きなプリントで見てもらいたい

A3プリントに耐えうる画素(1,400万画素)で撮っておいて良かった!


このような可能性を考えて、できればクロップ二段階700万画素での撮影は控えておいた方がいいかもしれません。


このことを踏まえて、GRⅢは28mmと35mmGRⅢxは40mmと50mmの画角で好みを判断した方が良さそうですね。




一眼カメラ(メインカメラ)との併用を前提とする選択

GR以外にもすでにカメラを持っている人が多いと考えて


これは所有するカメラはGRだけ、という方は気にする必要はない項目です。

しかし、多くのカメラ好きにとってGRは一台目のカメラではなく、すでにレンズ交換式のカメラを持っているのではないでしょうか?

メインカメラを首から下げて、GRをポケットに忍ばせておく、そんな使い方が想定されます。

さて貴方のそのカメラ、常用レンズの焦点距離はいくつでしょうか?

単焦点の場合、50mmという方が多いかもしれません。

35mmという方もいるかもしれませんね。


常用レンズと併用することを踏まえ、ケースごとに考えてみましょう。


単焦点50mmを常用している

この場合、GRⅢ28mmと併用するとバリエーション的に良いです。

実際に私も、このパターンでの使用が多い。

見たままの自然な画角を50mmで撮りつつ、広く撮りたい時にGRⅢ28mmで撮る。

このパターンだと、GRⅢで決まりで良いのではないでしょうか?


FUJIFILM X-S20 & XF35mmF1.4R (換算53mm)


GRⅢ 28mm
先ほどの写真を撮り、後ろを見るとこんな景色でした。
広く写すために28mmで撮影。(歪み補正済)



単焦点35mmを常用している

この場合は迷いが出てきますね。

GRⅢの28mmと、GRⅢxの40mmの中間くらいの焦点距離なので。

実はこのパターン、ある時の私のパターンです。

SONYのミラーレス一眼にSEL35mmF1.4GMをつけて持ち歩き、ポケットにはGRが一台。

さて、GRはどちらだったでしょうか?


答えは「GRⅢx」でした。

ミラーレスの35mmと、GRⅢxのクロップ一段階50mm(1,400万画素)を使用し、役割を明確にして使っていました。

SONY α7SⅢ & SEL35F14GM(35mm)
少し広めに撮りつつも、開放で主題の男性にフォーカス。


GRⅢx 一段階クロップ 50mm(1,400万画素)
少し離れた位置からクロップを使って切り取った。
猫と女性が主題なので余計な情報が入らないように50mmにて撮影。




ズームレンズ(28-70mm等)を常用している

こうなると本当に悩ましいですね。

両GRの焦点距離(クロップ含む)をまるっとカバーしているので。

しかし、あえて一つの選択肢を提示したいと思います。


ズームレンズは一般的に広角端・望遠端で周辺光量落ちが出やすくなります。(開放で撮った場合、あくまで一般的に、ですが)

▼そこで広角28mmでの撮影を単焦点レンズ搭載のGRⅢに委ねてしまいます。

GRⅢ 28mm



▼そして50mmの標準域をズームレンズに任せます。

SONY α7SⅢ & SIGMA28-70mmF2.8 DG DN 50mm付近


もし周辺光量落ちを気にするようなら70mmの望遠端を使って開放では撮らない、という割り切りです。

スナップでは中望遠域よりは広角・標準域の方が使用頻度が高いと思われます。

ちょっと強引な選択ですが、一つの運用方法として例示してみました。




番外編:究極はGR2台持ち


色々と試行錯誤していくと、スナップに関してはこの結論にたどり着いてしまうんですよね、、。

GRⅢ 28mmとGRⅢx 40mmの二台と考えても良いですが、GRⅢxを一段階クロップすれば28mmと50mmの単焦点コンビネーションの出来上がりです。

焦点距離の違うAPS-Cコンパクトカメラが左右のポケットに、、。幸せ、、。

本記事のテーマは「2台のうちどっちを買うべきか?」なので、2台持ちはあくまで「番外編」ということで、、。


▼そんな2台持ち比較の様子をPOV動画にしました。
参考になると思いますので、一度ご覧ください。


まとめ

GRⅢとGRⅢxについて色々と比較検討してきました。

いかがでしたでしょうか?ご自分にとってどちらがふさわしいか、イメージできましたか?

と、皆様に投げかけて終わるのはちょっと無責任なので、私なりの結論を述べて終わりにします。



風景スナップが多い、メインカメラとの併用が多い人はGRⅢ28mm

周囲の情報を取り入れたい風景(自然・都市)スナップ、メインカメラで標準域をカバーしている場合のサブカメラとして。

そんな利用形態が多く想定される場合は、GRⅢで良いと思います。


人間の見た目に近い、自然な画角でスナップしたい人はGRⅢx!

人間の視野に近い自然な画角でスナップしたい人、肩肘張らずラフに撮り歩きたい人には40mmのGRⅢxをおすすめします。

散歩のお供には40mmが楽しいです!



所有カメラはGRどちらか一台だけ!と言われれば、私は「GRⅢx」を選ぶ!


「一眼カメラ用の単焦点レンズを一本だけ選ぶとしたら?」

この問いへの回答と、まさに同じ回答になると思います。

一つだけとなると、私はやはり人間の見た目に近い標準域を求めます。

GRに置き換えても同様で、ずっと生活を共にする唯一のカメラということであれば、40mmの「GRⅢx」を選びます。


実際、撮影目的ではない外出の際に、さっとカバンに入れるのは「GRⅢx」であることが多い。

そのくらい日常に溶け込むカメラです。


多少強引ですが、あえてこのように結論付けて結びとさせていただきます。

もちろん賛同できない部分も多々あろうかと思います。

この結論に対する反論を考えることも、あなたにとっての一台を決める大切な過程になると思います。

じっくりと考えて、後悔の無い選択をされることを祈念しています。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

ご覧くださり、ありがとうございました。




▼YouTubeでも掲載しています。



▼GRⅢ:28mm



▼GRⅢx:40mm



▼常に持ち運ぶことになるので、液晶ガラスフィルムは必須です。
こちらは私が使用している製品です。



▼GRⅢ・GRⅢxは電池持ちがあまり良くないので、予備のバッテリーはあったほうがいいです。
純正は高いので、こちらのサードパーティー製にしましょう。
実際に使っていますが、全く問題ありません。





▼こちらは上記の予備バッテリーのレビューです。

RICOH GRⅢ&GRⅢx 安い互換バッテリーで大丈夫です! / Vemico Li-90B/Li-92B バッテリー
本記事では、私が使用しているRICOH GRⅢx 用の互換サブバッテリーを紹介します。最高のスナップシューターと評されるGRⅢ。唯一の弱点をあげると、バッテリー持ちの悪さでしょう。純正ではないサードパーティー製でも安価で良い品がありましたので参考になれば嬉しいです。



▼GRのイメージコントロール全12種類の紹介です。

GRⅢx / イメージコントロール全12種類を使ってみた / 作例と特徴解説
本記事では、RICOH GRⅢxに搭載されている12種類のイメージコントロールを紹介します。どんなシーンでどの色味を使用しようか考えながら撮り歩いてきたので、選択の参考になれば嬉しいです。すべてカスタマイズ・レタッチ無しの写真ですので、色調の参考にご覧ください。


 

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