FUJIFILM X-S10のフィルムシミュレーション「クラシックネガ」と、その色味再現のベースとなったレンズ付きフィルム「写ルンです」の写真を比較してみました。
同時刻に同じ場所・画角で撮影した作例をいくつか掲載しましたのでご覧ください。
なお、「写ルンです」はF10・ss1/140・iso400・焦点距離32mmのレンズ付きフィルムです。
デジタルミラーレス一眼のX-S10も同様に設定し、条件を合わせて検証しています。
※画角については上下左右に多少のずれがありますがお許し下さい。
フィルムシミュレーション「クラシックネガ」の特徴
ネガフィルム「SUPERIA」をベースとして作られたフィルムシミュレーション。
使い捨てフィルムカメラ「写ルンです」のフィルムを再現したとも言われている。
メリハリのある諧調と、彩度を抑えつつも明部と暗部の色味を変えることで深みを増した色。
ハイコントラストで立体的な表現が得られる。
ハイライトには緑が乗る傾向にある一方、シャドウにはうっすらとマゼンタが入るのが特徴的。
SNSを中心に、フィルムカメラで撮影された情緒的な写真が人気の昨今、その需要に合わせて発表された色味のようです。
どこか懐かしさを感じる写りで、FUJIFILMの画質完全読本には「アルバム色」という言葉が見受けられます。
PROVIAの「記憶色」に対し、クラシックネガの「アルバム色」とは、、素敵な表現ですね。
フィルム付きレンズ「写ルンです」とは?
「写ルンです」は、富士フィルムが1986年に販売を開始した、レンズ付きフィルムです。
フィルムを巻いて、シャッターを押すだけで撮れる、この手軽さが良いですね。
フラッシュも内蔵されているので、室内でも使用することができます。
一方、絞り・シャッタースピード・感度が固定されているので、少し暗い場面では積極的にフラッシュを使用しないと、露光不足の写真となってしまいます。
私自身も90年代、このカメラと共に過ごした世代なので、思い出深い製品です。
▲写ルンです3個パック
▲FUJIFILMの小型ミラーレス X-S10
写真比較(並べて比較)
一枚ずつ並べて比較してみます。
一枚目が「クラシックネガ」、二枚目が「写ルンです」。
クラシックネガはカスタマイズぜずに、デフォルトのまま使用。
比較1 田園風景
緑色の田んぼと青空です。
上段クラシックネガに比べて、下段写ルンですは緑の色がより黄緑っぽく再現されています。
空の明るさはほぼ同じですが、こんなに緑の発色に差が出るとは意外でした。
比較2 青空と砂浜
空と海の青、砂浜の白さの比較です。
こちらはかなり近い仕上がりになりました。
上段デジタルの方がくっきり解像しているのに対し、下段フィルムはふわっとした仕上がりです。
周辺光量が落ちるのも、フィルムらしさがあらわれていますね。
比較3 山車
鮮やかな被写体同士の比較です。
上段デジタルはコントラストが高めで、色味も鮮やかさが強い。
下段フィルムは少し落ち着いた、くぐもった感じの発色です。
比較4 カラフルな傘
もう一枚鮮やかなもの同士の比較です。
上段デジタルは、くっきりはっきり、下段フィルムはふわっとしていますね。
撮影時、露光量に少し差が出てしまったようです。
比較5 緑背景の和傘
緑はどちらも彩度が抑えられた深い緑色です。
二枚目、フィルムの質感もいいですね。
比較6 風鈴と青空
真ん中の青い風鈴の色に大きな違いが見て取れます。
二枚目フィルムでは、アクアに近い青色になっています。
フィルムの方が緑の乗りが強いからなのでしょう。
比較7 同じく風鈴と青空
細かな被写体だと、一枚目デジタルの解像感の高さが際立ちます。
一方、二枚目フィルムは風鈴の一個一個もすこしぼやけますね。
比較8 大阪駅の光と影
こういうシーンだと、解像感以外は大きな違いが出ませんね。
比較9 空と海の青
二枚目フィルムの方が、海の青みが強いですね。
比較10 空の青と白、地面の白さ
二枚目フィルムの方が、より地面が乾いた感じの発色になっています。
比較11 暗い部屋から街を望む
一枚目デジタルが寒色っぽいのに対し、二枚目フィルムは少し緑が入っていて、温かみのある発色になっています。
比較12 梅田スカイビル
二枚目フィルムの、ハイライト部分の緑の強さを感じます。
比べてみるとデジタルの解像感が良くわかりますね。
比較13 海岸線
どちらも懐かしい感じの写りですね。
camera & lens / カメラとレンズ
▲写ルンです、3個パック。
現在、量販店では時々品薄になるようです。
▲FUJIFILM X-S10 を使用しました。
小型で、スナップに重宝しているカメラです。
▲標準ズームレンズ XF18-55mmF2.8-4 R OIS
小型軽量のX-S10ボディと相性の良い、小さな躯体が使いやすい。
▲ピークデザインの脱着可能ストラップ。
小型カメラと相性がとても良いです。
長さ調整が楽なので、たすき掛け、首下げ、自由自在です。
afterword / あとがき
いかがでしたでしょうか。
「クラシックネガ」と「写ルンです」、方向性が同じでも比較してみると違いがあるものですね。
シーンによってはかなり似ている写真もありましたが。
「写ルンです」は現在、若い世代に需要があるようで、現像データをスマホへ送るという処理の仕方が一般的になっているみたいですね。
俗に言う「エモい」写真の需要でしょうか。
この言葉の定義はさておき、フィルムで撮ると雰囲気の良い写真が仕上がりますよね。
私が若い頃は、特にエモさを求めたわけではありませんが、写真を撮るというとこの「写ルンです」が一般的でした。
仲間と撮って、良い写真が現像プリントされてくると、それぞれの写真を自慢し合ったものです。
デジタル時代の今、このフィルム付きレンズが存在し続けるというのは、少し嬉しさを感じます。
おそらく今後も完全に姿を消すことは無いのでしょうね。
今回の検証が参考になりましたら嬉しいです。
ご覧くださり、ありがとうございました。
▼今回使用した、X-S10のレビューを書きました。よろしければご覧ください。
▼FUJIFILM12種類のフィルムシミュレーション作例を作りました。こちらもどうぞご覧ください。
コメント
とても興味深い試み、そして記事ありがとうございました!つい先日、“ゆるカメ写真部”のワークショップで、富士フィルムの直営写真店、WonderphotoshopからX-S10をお借りしてフィルムシミュレーション体験をしたばかりだったので、とてもタイムリーな記事で驚きましたし、嬉しかったです。
また楽しい企画、記事楽しみにしております!
コメントいただき、ありがとうございます。
ちょうど良いタイミングの記事だったようですね
wonderphotoshopでのフィルムシミュレーション体験はいかがでしたでしょうか。
FUJIのカメラは楽しいですね〜。
次はどのカメラにしようか思案中でした^^;
はじめまして。楽しく読ませていただきました。
一枚目のデジタルで「なるほど確かにネガっぽい」と思いましたが、二枚目の写ルンですを見ると「そうそう、やっぱりこれだよね」となりますね笑
ネガって意外とハイコントラストなんですよね。
フィルムっぽい=色が薄いと思いがちですが、思った以上にこってり色が乗る感じがよく出ている作例だと思いました。
あと、露出の差はフィルム側ではなくてスキャナ側の設定だと思います。マルチ測光だと周辺の光量不足に引っ張られて中心をどうしても明るく補正してしまうので、スキャナを中央重点測光みたいな設定にしてやるともっと適正になるのではないかと思いました。